2016年10月頃から噂され、CES2017で正式発表されたSAMSUNG Chromebook Plusを入手しました。このモデルでChromebookは7台目になるので、購入を迷ったのですが、2017年発売されるChromebookの大本命モデルなだけに、とりあえず買いました。
これは評価が難しいChromebook。
開封レビュー
では、レビューしていきます。
製品の同封品は、Chromebookの他モデルと同様に、Chromebook本体で充電用のACアダプタのみです。SAMSUNG Chromebook PlusはUSB Type-Cでの充電となるので、充電スピードも早くて快適です。今後リリースされるChromebookが、すべてこのタイプになれば良いと思います。
筐体デザインは金属製ボディの非常にシンプルなものです。表面はスマホでよく見かける仕様で、少しザラついた手触りの加工がしてあり、手を滑らせて落とすことはなさそう。Chromebookのロゴマーク「●Chrome」の表記が、他モデルと異なり、モノクロであることもシンプルさを一層際立たせています。
底面も非常にシンプル。左右前方にスピーカー、四隅にプラスチック製の脚、周囲に8本のビスがあるのみ。
右側面には、手前からボリューム調整ボタン、電源、USB Type-Cジャック、スタイラスペンがあります。
左側面には、奥からオーディオ・ジャック、USB Type-C 、microSDカードスロットがあります。
側面の造形は角を落とした曲面で構成されており、iPadを2枚重ねたようなデザインです。449$の価格で、これだけ質の高い筐体を実現するのは素晴らしいと思います。Galaxyシリーズで多数のスマホやタブレットを製造してきたSAMSUNG社だからこそ出来たのかもしれません。Apple製品なら3倍ぐらいボラれそう。
本体サイズの比較
他のモデルと本体サイズの比較です。
まず、同時期に発売されたASUS Chromebook Flip C302CAとの比較です。C302CA(右)が12.5インチ、SAMSUNG Chromebook Plus(左)が12.3インチなのでほぼ同じサイズと思えますが、前者のモニターのアスペクト比が16:9、後者のアスペクト比が3:2であるため結構違います。SAMSUNG Chromebook Plusは、ボディ幅が狭く、奥行きが長くなっています。
SAMSUNG Chromebook Plusのボディ幅は11.6インチモデルよりも狭いくらいですが、さすがに10.1インチモデルのASUS Chromebook Flip C100PAよりは広くなっています。
SAMSUNG Chromebook Plusの厚みは、前述のASUS製2モデルよりも薄くなっています。側面の造形が曲面となっているため、実寸値よりも一層薄く感じます。
キーボード&タッチパッド
ボディ幅が狭いことを書きましたが、その影響を受けているのがキーボードです。
11.6インチモデルのAcer Chromebook R11よりもキーボード幅が狭くなっています。1つ1つのキーが 1mm程度小さくなっていることに加え、左右の端のキーの横幅を狭めて、キーボード全体のサイズを小さくしているようです。
右端は[Enter]キーや[BackSpace]キー、[\]キーが小さくなっています。
左端では、[~]キーや[Tab]キー、
両端のキーの幅が狭いからといって押し間違えることはないのですが、全体的にキーが小さい点は、キーボードを連続して打つ際に若干窮屈に感じます。また、ボディの厚みが非常に薄いため、キーストロークが若干少ない(あるいはキートップの突出がやや少ない)ように感じます。しばらく使っていると慣れるとはいえ、キーボードに拘りのある人は気になるかもしれません。
あと1番気になったのはタッチパッド。タップの反応が悪いようで、少し強めに叩かないと反応しません。使い始めてしばらくすると慣れなのか、あるいはアップデートがあったのかわかりませんが、少し改善したようです。ただ、それでもASUS Chromebook Flip C302CAやAcer Chromebook R11のタッチパッドの方がスムーズに操作できます。
2017.3.5追記
修正パッチがインストールされたのか、タッチパッドの感度が改善しました。タップもASUS Chromebook Flip C302CAやAcer Chromebook R11と遜色ない感度となり、非常に使いやすくなりました。
スタイラスペン
このモデルの特徴の1つがスタイラスペンです。このモデルのリリース後に発表された「Acer Chromebook Spin」や「ASUS Chromebook C213」 にもスタイラスペンが搭載されていますので、今後のChromebookにとって重要な機能になるのかもしれません。
SAMSUNG Chromebook Plusの画面右下には、他のモデルには表示されない「タッチペンツール」が表示されており、スタイラスペンを取り出すと自動的に起動します。Androidアプリ「Adobe Draw」等がタッチペン入力に対応していますが、サッと気軽に使えるのがOSに搭載されているこのツールです。
スタイラスペンの使い心地は、わりと良好でペン入力の軌跡をスムーズにトレースしてくれます。文章を速記しようとするとさすがに遅れますが、イラストを書いたりする場合はスムーズです。
最初に使ったときは、もう使わないだろうなと思いましたが、フロー図などの模式図をメモるには割と便利かもしれません。ワークショップなど議論の場で使うケースも想定できるので、教育現場でシェアの高いChromebookに搭載されていくのは自然な流れかもしれませんね。
ディスプレイ
このモデルの長所の1つがディスプレイです。アスペクト比3:2で、最大2,400×1,600の領域を表示するディスプレイは、縦長でスクロールする機会が多いウェブサイトの閲覧にピッタリです。また、発色も非常に鮮やかで、「白」が黄ばんでいたり、青味がかっていることもなくハッキリと「白」です。449$のノートPCに搭載された液晶モニタとは思えない水準です。
ちなみに、2,400×1,600表示が可能とはいえ、ディスプレイサイズが12.3インチですので、快適な解像度は1,500×900です。1,800×1,200表示でも字が小さく、長時間使うと目が疲れます。
CPU
最後にCPUです。このモデルの評価を難しくしている最大の原因は、このCPUであるように感じます。
SAMUSUNG Chromebook Plusに搭載されているCPUはARM系64bitのOP1というものです。GoogleのJavascriptベンチマークGoogle Octane2.0では「9592」をマークしており、Chromebookに搭載されることが多いIntel製CPUのN系Celeronよりも性能は高くなっています。
しかし、動作が入力に対してワンテンポ遅れることがあります。Intel Core M 6Y30 (Google Octane2.0 : 22,799)を搭載したASUS Chromebook flip C302CAを使っている影響で感覚的なものかもしれませんが、反応のスムーズさではIntel Celeron N3150(Google Octane2.0 : 7,853)を搭載するAcer Chromebook R11の方が上に感じます。
OP1は省電力で、Androidアプリがネイティブで動作するなどの利点もありますが、快適さではIntel製CPUには劣っているかもしれません。ただ、同じARM系のRockChip RK3288Cを搭載しているASUS Chromebook flip C100PAよりも遥かに快適に動作します。
まとめ
まだ開封して2日間しか使っていませんが、ざっと使った印象では、軽く、シンプルで良質なデザインと美しいディスプレイを備えた普通のChromebookといったところです。高性能モデルという印象はありません。
僕としては期待が大きかった反動で、やや満足度が低く、
8台目のChromebookとしてSAMSUNG Chromebook Proを買うことになりそう…
これもASUS Chromebook flip C302CAに「安物のChromebookに戻れん」カラダにされたせいかもしれません。