CES2019で発表されていた2019年ニューモデル ASUS Chromebook Tablet CT100PA を米Amazonで購入しました。
Apple iPadシリーズがAndroidタブ勢を圧倒している状況で、ChromeOSを搭載したタブレット端末がどこまでやれるか懐疑的ではありましたが、1台くらいは試しておこうと購入してみました。早速、レビューです。
用途によっては、十分選択肢になりうるモデル
- (スペック概要)
- CPU:OP1・Chromebook用ヘキサコアプロセッサ(1.6GHz ー 2.0GHz) ※RockChip RK3399
- RAM:4GB
- ストレージ:32GB eMMC
- ディスプレイ:9.7インチ 液晶(1,536×2,048) マルチタッチ
- ネットワーク:IEEE 802.11a/b/g/n/ac, Bluetooth V4.1
- インターフェイス:USB Type-C×1, microSDカードスロット, オーディオ・ジャック
- カメラ:2MPフロントカメラ、5MPリアカメラ
- バッテリー駆動時間:10時間
- 寸法:172.2 x 238.8 x 9.98 mm
- 重量:0.58kg
- その他:EMRスタイラス
開封レビュー
まず開封。Chromebookとしては小さめの箱を開けると、いつものASUS製品どおり「IN SEARCH OF INCREDIBLE」の文字と本体が。
同封品
同封物は写真のとおり、本体と電源アダプター、取扱説明書のみ。
ASUS Chromebook CT100に付属する電源アダプターはコンパクトな本体とは裏腹に、太めのケーブルが用いられた代物です。バッテリー駆動時間が10時間あるため、充電器を持ち歩く前提になっていないのかもしれませんが、もう少しスマートな仕様に出来たのでは?と思ってしまいます。
もし充電器を持ち歩くなら、別途、USB Type-C接続の充電器とケーブルを調達した方が良さそうです。
なお、米Amazonで購入した場合、北米仕様であるため、コンセント形状が三又プラグです。日本で使用するためには三又→二又変換アダプターか、二又ミッキーケーブルが必要になります。
外観
続いて、本体の外観です。
本体正面
まず、正面。ベゼル幅はタブレットとしては標準的なものです。iPad Proのようにベゼルレスではありません。
正面の上部には、200万画素のフロントカメラがついています。WEBカメラとしては十分な画素数。
本体背面
中央に「ASUS」、下部センターに「Chrome」のロゴが配置されています。
背面の素材はプラスチック製ですが、指紋や引っかき傷に強いマイクロディンプルテクスチャー仕上げとなっていて、安っぽさはありません。また、外縁部はゴム製バンパーで保護されています。
この仕様は、ASUS Chromebook Flip C213NAと同じもので、滑らず、非常に持ちやすい仕上げとなっており好印象。また、CT100は軍用規格MIL-STD-810G基準をクリアしており、耐久性に不足はありません。床に落としてしまったり、ソファに放り投げるくらいの物理的振動や衝撃ではビクともしないタフさは、CT100のセールスポイントでしょう。
背面の右上部には500万画素のカメラが搭載されています。iPad(2018)やiPad Air、HUAWEI MediaPad M5 Liteのリアカメラが800万画素であることを考慮するともう少し頑張ってほしかったところ。
本体上側面
続いて、上側面。写真左から、スピーカー、マイク、オーディオ・ジャックがあります。
本体左側面
写真左から、EMRペン、microSDカードスロット、音量ボタン、電源スイッチ。
本体下側面
写真左からUSB 3.1 gen1 Type-C端子、スピーカーがあります。
インタフェースは以上となります。右側面にインタフェース類はありません。
iPad 2018との比較
CT100PA単体の写真ではサイズ感が伝わりにくいので、Apple iPad 2018と比較してみました。
Asus chromebook Tablet CT100PAのディスプレイサイズは、iPad(2018)と同じ9.7インチであるため、筐体のサイズはほとんど変わりません。
一方、厚みはiPad(2018)の7.5㎜に対して、Asus chromebook CT100は9.98㎜と約2.5㎜分厚くなっています。
ただ、手に持った感覚では「分厚い」という印象はありません。
むしろ、薄くなりすぎた感のあるiPadに比べて、持ちやすくて好印象です。また、MILスペックを満たしたタフネス・ボディを有するCT100PAは、ケースが不要であるため、この厚みでも十分薄いといえるでしょう。
使用感
約2日間使用した印象は「悪くはないが、ややパワー不足」といったものです。
ASUS Chromebook Tablet CT100PAに搭載されているCPUは、Samsung Chromebook Plus(2017)、ASUS Chromebook Flip C101PA(2017)、Acer Chromebook Tab 10(2018)に順次搭載されてきたChromebook向けのSoc「OP1」(RockChip RK3399ベース)です。
OP1は登場から約2年が経過しており、最新のCPUに比べて非力であることは否めません。通常のブラウジング時には気になりませんが、アプリによっては起動時や切り替え時のもたつきが散見されます。
快適にアプリを使用するためには、軽量なアプリを選ぶ等の工夫が必要かもしれません。
※ASUS Chromebook Flip C101PAなどOP1搭載機でパワー不足を感じない人には問題ありません。
Google Octane2.0 ベンチマーク・テスト結果
Javascriptブラウザ・ベンチマーク Google Octane 2.0のテスト結果は「10236」でした。多くのChromebookに搭載されているIntel Celeron N3350のベンチマーク・スコアとほぼ同等です。
以前、同じCPU「OP1」を搭載しているChromebookでテストした時は8000台でしたが、Chromebook専用「OP1」へのChrome OS・ブラウザの最適化が進んでいるのかもしれませんね。
ストレージ
ASUS Chromebook CT100に搭載されているストレージは、容量32GBのeMMCです。ここからChromeOSの占用領域を差し引くと、実際に使用できるストレージ容量は24GB程度になります。映像や音楽等のデータを保存するには、やや心許ない容量です。
このため、本体購入時にはmicroSDカードを併せて購入した方が良いかもしれません。
今回は、SAMSUN EVOPlusの64GBを購入しました。
CT100のmicroSDカードスロットは、前述したとおり本体左側面にあります。プッシュイン/アウト方式のスロットとなっており、装着時には本体から飛び出すことなく、キレイに収まります。
microSDカードを装着すると、自動的にAndroidアプリのデータ保存先となるので、ストレージ容量不足の不安を解消できそうです。
EMRスタイラスペン
ASUS Chromebook CT100の最も好印象だったポイントは、EMRスタイラスペンの使用感です。初期設定時こそバックグラウンドでアップデートが動いていたためか、反応が悪いように感じましたが、その後は筆圧感知レベル、追従性、応答速度ともに満足しています。
ただし、OSに標準搭載されているタッチペン・ツールはイマイチ。メモとして使用するには必須となる速記時の応答速度にやや遅延があります。
もっとも標準ツールでNGな部分も、アプリを使えば改善可能です。
いくつかのアプリを試した結果、筆圧感知レベルと応答速度等で満足したのはメモアプリ「Squid - Take Notes & Markup PDFs」です。
一部の機能は有料(100円/月)ですが、このアプリがあれば、書類にサインしてメールしたり、送られてきたPDF原稿に赤入れ校正して返信するといったビジネスでもよくあるシーンで十分使えます。CT100が、職場のペーパーレス化を図るために良い端末になるかもしれません。
また、「Squid」とブラウザ、或いはKindle等を2画面表示すれば、ノートとしても使用できます。
Chrome OSのスタイラスペン機能は、この製品の主要なターゲットである教育現場でノートとして使用できるよう、かなりのレベルまで調整が進んでいるように感じます。
ただ、内蔵されているスタイラスペンが取り出しにくいのが残念です。
出来れば、Samsung Chromebook PlusのEMRスタイラスペンのように、プッシュイン/アウト方式を採用して欲しかったところ。
メモしたい時にサッとペンを持つには、別売りのEMRスタイラスペンを購入した方が良いかもしれません。
(参考)ASUS Chromebook Tablet CT100用に EMRスタイラスペン「STAEDTLER Noris digital」を買いました ― 購入レビュー
まとめ
ブラウザ専用機としての性格が強いChromebookに、キーボードがないタブレット端末なんて…と思っていましたが、Chrome OSのスタイラスペンと手書き入力への対応が進んだおかげで、思った以上に快適に使えます。
もちろん、文字入力主体であればキーボードを搭載したクラムシェル端末に劣りますが、自宅のソファでくつろぎながらメディア・ビューワーとして使ったり、あるいはビジネスシーンでメモや文書閲覧用の端末として使用するのであれば、十分選択肢になり得ます。
また、MILスペックのタフネス・ボディも大きな魅力です。取扱いに気を使うオール金属ボディのタブレットと異なり、気軽に扱えるでしょう。
もちろん、最新のCPUを搭載したモデルのようなウルトラスムーズな動作は期待できませんが、前述のような使用には十分な仕様です。
そんなワケで、ペン入力対応のタフなタブレットをお探しの方におすすめできる1台